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ヒトの場合、進化の過程で視覚が発達したので、その分、唄覚は退化したと考えられています。 以前、世界五大都市の女性の「ハンドバッグの中身」を、比較するという調査がありました。

対象は、東京、パリ、ミラノ、ロンドン、ニューヨークに住むOLです。 これは、化粧という自己表現に対する考え方を、国別に探るというとても興味深いものでした。
その結果東京では、「口紅とファンデーション類」を携帯する女性が多かったのですが、東京以外の都市では、「アイメイクと口紅と香水」が圧倒的に上位を占めていました。 日本では「美しい肌とあでやかな唇」が女性の魅力だと思っているのに対し、他の国々では、唇と同時に「目と香り」を重視しているのです。
される自分の魅力を美しい肌と唇、つまり「視覚」だけでアピールしようとする日本女性と、印象的な目とよい香り、すなわち「視覚」と「嗅覚」の両面からより積極的に攻める欧米女性。 この勝負、欧米女性のほうが一枚上手だな、と思いました。
ところで人と話をするとき、欧米ではしっかり相手を見て話します。 相手の反応を確かめるのもさることながら、自分の思いをきちんと伝えようとするからです。
一方、日本人は話をするとき伏目がちで、人間関係や自己表現においてもはっきりさせないで、曖昧さを残そうとする傾向があります。 香りにおける意識もこれに共通します。
日本人はほのかで安らぎのある香りを好みますが、欧米では、個性を主張する香りが圧倒的に支持されてきました。 つまり欧米人にとって自分をアピールする香水とアイメイクはいわば必然だったのです。
しかしここ数年、日本でもマスカラを中心に、目元にポイントをおくメイクがすっかり定着しました。 それに呼応するかのように個性的な香りを漂わせる女性も増えてきています。
目だけでなく香りも「口ほどにものを言う」ことに、日本女性も、気づいたからに違いありません。 また『クレオパトラ』を演じたときは、代から代まで、クレオパトラの成熟度に合わせて、「K」をベースに、CG「W」やCDの「DV」で、甘さや華やかさを盛り上げていったということです。

歌舞伎役者も役どころに合わせて香水を使うことで知られています。 名優のひとり、Sさんは、エッセイで、男性が女性を演じる女形(おやま)の場合、相手に本当の女性だと感じさせるためにも香水の力を借りることが多いと述べています。
また、六代目・Kさんと、彼の女房役で共演したときに、Kさんはいつも好ましい、男らしい香りを発散させていたので、本当に男の色気を感じた、そうです。

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